はじめに――もうひとつの「日本」の神々を求めて――
序 章 陰陽道と安倍晴明の基礎知識
「陰陽道」の定義
国家のトップシークレットと「陰陽寮」
安倍晴明は「陰陽師」なのか
「道の傑出者」としての晴明
歴史のなかの陰陽師
本書で出会う「陰陽道」の神々とは
(表)安倍晴明年譜
第1章 追われる鬼、使役される神――疫鬼と式神――
1 鬼を追う陰陽師
「福は内、鬼は外……」の謎
追儺儀礼の現場から
陰陽師が誦む「祭文」とは
鬼にたいする二段階の対処
なぜ陰陽師が登場するのか
方相氏の両義性
2 「式神」という神
式神とは何か
『枕草子』のなかの護法
護法童子は術者の力のバロメーター
式神は「陰陽道」の知識とどう関わるのか
式盤に召喚する神々
式神が教えてくれた文様
〈コラム1〉なぜ鬼退治をする「リンゴ太郎」はいないのか
〈コラム2〉人を食らう鬼
〈コラム3〉「神働術」とグノーシス
第2章 冥府と現世を支配する神
1 冥府神としての泰山府君
泰山府君とコンタクトする晴明
史料のうえの泰山府君祭
焔魔天と泰山府君との関係は
藤原行成のための泰山府君祭
「個人」救済の時代のなかで
泰山府君と冥道諸神
北斗七星と結びつく
2 変貌していく泰山府君
泰山府君祭の多様化
鎌倉幕府の陰陽師と泰山府君
天曹地府とは何か
陰陽道の「繁栄」の時代?
第3章 牛頭天王、来臨す
1 牛頭天王を求めて
祇園祭の祭神の本当の名前は
「祇園社」と「牛頭天王」をめぐる歴史
「播磨国」に顕現した牛頭天王
2 中世神話としての「祇園牛頭天王縁起」
「祇園牛頭天王縁起」の物語、紹介
「吾は速須佐雄の神そ」
誰が牛頭天王=スサノオ説を作ったのか
「中世神話」の世界から
牛頭天王、第三の名前
3 牛頭天王、陰陽道の神へ
牛頭天王と天刑星
「太山府君王法」を破る
「五節の祭礼」と「二六の秘文」
切断された巨旦、その呪詛と調伏
暦神としての牛頭天王へ
〈コラム1〉本居宣長、祇園祭を観る
〈コラム2〉いまも京都に棲息する牛頭天王
〈コラム3〉平田篤胤の牛頭天王研究
第4章 暦と方位の神話世界――『簠簋内伝』の神々―
1 『〓〓内伝』という謎
土御門家が否定した書物
作成者は祇園社の社僧か
『〓〓内伝』の構成、その成立過程
暦注書としての意味
暦注の神々の世界
「右此の金神は、巨旦大王の精魂なり」
2 暦世界の根源神へ
宇宙創成の光景から
五帝龍王たちは何を生み出したか
暦世界の根源神=盤牛王
もうひとつの黄帝黄龍王譚
「土公神祭文」への変成
五帝龍王と八岐大蛇神話・異聞
白牛にまたがる牛頭天王
中世神学の暦神たち
ふたたび、『〓〓内伝』の作り手を求めて
奈良の地の陰陽師たち
〈コラム1〉『〓〓抄』と安倍晴明伝承
〈コラム2〉「神道」と「陰陽道」との結合とは
〈コラム3〉金神=スサノオ説をめぐって
〈コラム4〉世界の崩壊から始まる――いざなぎ流の「大土公祭文」――
第5章 いざなぎ流の神々――呪詛神と式王子をめぐって――
1 いざなぎ流の神々と陰陽道
家に祭られる神たち
天井裏の聖域へ
グループ神としてのオンザキ
明治初年の呪詛合戦から
2 「呪詛神」の系譜から
「呪詛の祭文」の世界
「取り分け」はどのように行なわれるか
「すそのはらへ」の系譜から
「中臣祓」という呪詞
陰陽師が読み替える祓えの神々
土御門系の「呪詛之返祭文」の儀礼世界
山伏・法者・禰宜たちと「呪詛の祭文」
数々の呪詛系祭文
呪詛のテクニックを相手どる
呪詛神の起源=提婆王
「すそ林」に立つ式王子の幣
3 式王子の世界
式王子のふたつの系統
式王子となる神霊たちとは
「大荒神のけみだし式」でシフトする荒神
法文=式王子をいかに使うのか
いざなぎ流太夫は「陰陽師」ではなかった
終 章 「陰陽道の神々」のその後
標的とされた牛頭天王
陰陽道の神々は何を語っているのか
断章1 いざなぎ流への<旅>
その1 神さまたちの引越し
その2 中尾計佐清さんのこと
その3 花をいさみて、寄りござれ
その4 物部村の人びと
断章2 安倍晴明ブームの深層へ
陰陽師・ミレニアム
安倍晴明の深層、いざなぎ流の現場
星を観る人・安倍晴明
ブームの深層にあるもの
「陰陽道」研究の進展
いざなぎ流の現場から
21世紀の安倍晴明――ブームの深層に何があるのか――
バビロニアの安倍晴明
補 論 牛頭天王の変貌と「いざなぎ流」(増補分)